むらら図書館長「村正」
by muramasa666
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短編小説『冥府からの呼び声』

思いもよらないこと、というのは人生のうちで一度や二度はあるものだ。

たとえば、気まぐれに買った宝くじが大当たりをするとか。

確立は面白いもので、0%でない限りは『起こりうる可能性ができる』ということだ。

すなわち、低確率というのは起こらないことではない。
低い割合で、必ず起こるということだ。

その時の俺は、確かに低確率をど真ん中でぶち抜いたってことなんだろうが・・・。



ふよふよと浮かんでいる俺。
別にワイヤーで釣っている訳でもない。それにここは屋外だ。頭にお花畑があるわけでもない。

浮いている、確かに浮いている。

はてと少し考えてみる。
俺は空気より軽いようなビックリ人間コンテストに出た覚えもないし、今の今まで浮いたことなどなかった。
しかしどうして、今は浮いていられるのか。


そして俺はある結論に達した。


「そうか…俺、浮空術を使えるようになったんだ」

そのうち瞬間移動とか髪を逆立てたりとか、金色になったりするのに違いない。

俺はうんうんと頷きながら一人納得していると・・・。

「あー、君。ちょっといいかな」

スーツ、眼鏡とおまけにカバン。
どれをとっても「オッス、おらサラリーマン、いっちょ通勤いってくっか!」みたいな空気を全体からかもし出している。

別段、町に出れば五万といるサラリーマン。
しかしここは町の上空である。
空を飛ぶサラリーマン。
なるほど、コイツは・・・。

「す、スーパーサラリーマン…?」

ずるっ。

あ、コケた。

「私はサラリーマンなどではない・・・。君はアニメの見過ぎですよ。私はね、こうゆうものです」

と名刺を差し出してきた。

ヨモツヒラサカ(株)
冥府本部 水先案内課
村山 正志

「ムラヤマさん、ですか」

「そ、課内ではムヤラマ マサシだから苗字と名前をくっつけてムラマサさんって言われてますけどね」

「へぇ・・・、それでそのムラマサさんが何のようッスか」

「えーっと君、その、何か感じないのかい?」

「別段。何も変わったことは・・・」

「君の今の状況!変わってるだろ!浮いてるんだぞ!」

「ああ、俺は実はスーパーサ○ヤ人だったんスよ」

「そのネタはもういい!」

「ち、違うんですか」

ムラマサさんは頭を抱えている、サ○ヤ人でもないとなると・・・。

「ああ、わかりました!」

「わかってくれたか!」

「俺は・・・、ナメック星人d」

「ちげーよ! ナメックじゃねぇよ!
 肌が違うだろ肌が!触覚もねぇよ!腕も生えねぇよ!」

「だったら・・・サイ」

「だからサ○ヤ人じゃねぇっつってんだろ!」

すっかり肩で息をしているムラマサさん。
おほんと咳払いをすると。

「…これから君の見ることは正直ショックを受けると思う」

「ムラマサさん…」

「…なんだい?」

「急にシリアスになると読者が困るんじゃないですか」

ずる。
またコケた。

「はぁ・・・、いいから黙って下を見てみなさい」

言われたとおり見てみる。
考え事したり、話したりしていたせいかまったく気づかなかったが、結構大騒ぎになってる。

遠くからはパトカーか救急車か消防車かのサイレンが聞こえてくる。

来たのは救急車だった。

大勢いる群集をかき分けてたどり着いた先は・・・。

「おっぱぶ…」

「じゃない!その前!おっぱぶの前!」

前には人が倒れている。
側に看板が落ちていることから、不運にも取り付けてあった看板が落下してその下敷きになったようだ。

しかし、その倒れている男に見覚えがあった。

「あ、あれは・・・」

俺だ!

「つ、つまり・・・あ、あいつは・・・」

「うむ、そういうことだ」




「俺の・・・そっくりさん」


ずるっ。

本日三度目のムラマサがコケた音だった。
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# by muramasa666 | 2007-02-04 12:35 | 五階 『ものがたり』

『NAME』

名前。

きみの名前。
わたしの名前。

私と君の間で呼び合う名前。


名前のないものは、この世には存在はしないの。
名前がなくなると、もうそれはこの世にはいれなくなるの。


誰が与えたのか―その意を・・・
誰が付けたのか―その音を・・・
誰が呼んだのか―その名を・・・


誰かが言った、それは神だと。
また誰かが言った、神などいない、昔の人間が言ったのだと。

私は言う、どちらも当たり、どちらも外れ。

名前は名前。
名前の名前は名前。

私を呼んで
あなたの声で

あなたを呼ぶよ
私の声で

だから・・・
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# by muramasa666 | 2006-12-30 02:35 | 五階 『ものがたり』

『ここからはじまること』

絶食18時間の村だ。
いや、別に金がないから飯を抜いてるわけじゃない。
出かけてたりとか、朝食食う暇がなかったりとかで、まぁいろいろなわけだ。

ん? だったらこんなもの書いてないでとっととなんか食え?
嫌だなお客さん、飯を抜いた極限状態だったからこそ書けるもんってのもあるもんだろ?




そう、あの頃のテンションのように…。





『ここからはじまること』



大まかなことは端折ろう。
同じようなことをグダグダ書くのはとても気分を萎えさせるものだ。
まるでチャーハンを食った後に出たライスのようにな。

結論から言えば、スーツは失敗だった。

二 度 と 着 な い ぜ。

まだ開けてないYシャツで来たのがまずかった。
首痛くてたまんねーよハゲ(ぁ

…話は変わるけどよ。

やっぱオフは夜、しかもラブホテルから始まるといっても過言ではねぇだろう。
なんか、感じるんだ。


ああ、これで人目を気にする必要がない


そんなわけでホテルの中はスゴかったのなんの。
例えるなら嵐の中の大津波。
例えるなら大掃除中に流れた賢い掃除をする方法を説くTV番組。
例えるなら五つのシュークリームに紛れ込んだわさび入り。



書くことはまだまだあるけど、とりあえず来年の抱負を書いて今回はシメよう。


一つ、エクスキューショナーを教授にする。
一つ、内定を取る。
一つ、彼女を(脳内以外で)作る。
一つ、エリュシオンでハッパ面子の替え歌を完成させる。

この四つ三つをがんばっていきたい。


まぁ、こんなカンジだけど来年もまたよろしく。
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# by muramasa666 | 2006-12-28 15:16 | 三階 『日記』

『選択~parable~』

生きて生活する以上、日々我々は選択をする

朝、目が覚めた時に気だるい体を無理矢理起こすか否か
昼、飯をダイエット、或いは節約のために量を減らすか
夜、もう少し遊んでいたいが明日のために早めに寝るか


―否応無く、選択は迫られる


たとえば、
そう、これはたとえばの話

ある休みの日に友人と会う約束をした
その友人とはもう十年以上も付き合いのある親友中の親友
会う目的は遊ぶことではない、勿論それも含まれるだろうが
目的は相談である
それが何かは分からない
だが自分が会うことで友人が楽になるのであれば・・・会わないはずが無かった


―普通ならば・・・


たとば、
そう、これはたとえばの話

その休みの日に偶然予定が持ち込まれた
相手は現在交際中の恋人
だが毎週のように会えるわけではない
三ヶ月に一回、場合によっては半年に一回しか会うことは出来ない人だった
急に仕事に空きができ、数少ないチャンスでデェトに誘おうとのことだった
しかし、もう先約ができてしまっている
そのことを伝える、が恋人はどうしてもと言う
結局、恋人に押し切られるように約束をしてしまった


―普通ならば・・・

そう普通ならば楽しみで仕方がない休日
・・・だが選ばねばならない


同じ日、同じ時刻、そして違う場所で

友人は懐に手首を切り裂くためのナイフを
恋人はカバンに想いを伝える為にリングを


それぞれの気持ちと共にしたためた・・・


例えその日、一生涯の友人が自殺をしたとしても
例えその日、最初で最後の恋人と別れたとしても


―否応無く、選択は迫られる


けれども、
・・・けれでも、そう


―これは"parable(たとえ話)"です

あとがき
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# by muramasa666 | 2006-10-24 17:28 | 五階 『ものがたり』

革命~revolution~

子供の頃から思っていた 「俺は世界を変えられる」
当然 まわりからは笑われたさ でもな・・・
「だったらテメェらは変えられるのかよ!」
そんな思いをキャンパスや楽譜 原稿用紙にぶちまける

いつになったら届くのか
いくつになったら叶うのか

あぁ 世界はまだ遠い・・・


時は流れて大人になる 「俺は世界を変えている」
当然 まわりからは煙たかれる でもよ・・・
「だったらテメェらは何やってんだよ!」
そんな思いを社会や政治 新聞記事にぶちまける

いつになったら届くのか
いくつになったら叶うのか

あぁ 世界はまだ遠い・・・


実にくだらないメッセージ
実にどうでもいい革命(こと)

社会に見放されたとしても 俺は創作活動をやめやしない
これは俺の革命(言葉)で革命(思い)で革命(信念)なんだから!


やがて俺も爺になる 「俺は世界を変えられたか?」
そんなの 分かりきってるじゃないか でもな・・・
「だったら俺は何しに生きたんだ!」
そんな思いを六文銭 死装束に投げ掛ける

三途の川の渡し舟
その船頭に問いかける

「色々頑張ったが、てんでダメだったよ」
「そんなことはありません、冥府ではあなたの作品がバカみたいに評判なんです、
皆あなたの到来を今か今かと待っていたんですよ」


あぁ 世界はやっぱ遠い・・・

あとがき
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# by muramasa666 | 2006-10-16 08:18 | 五階 『ものがたり』

拳聖から見た世界

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# by muramasa666 | 2006-10-01 16:20 | 三階 『日記』

物語 『何も解決はしていない』

無気力というのは、どの人間にもあるものである。
多かれ少なかれの差はあれど確かに存在する。

ただ、彼の場合は少し度を過ぎていた・・・。


彼は面倒くさがりだ。
怠惰というわけではない。
『どうでもいい』のだ。全てが。

自分に害をなさないのなら隣人が殺人鬼でも構わないだろう。
相手から求めてくるならば、それなりに対応する。しかし離れるならば「勝手にしろ」となるだろう。

「友人なんて色々と考えるのが面倒じゃないか」


たとえ目の前で人が倒れたとしても、
携帯で連絡することはあってもすぐその場から去るだろう。

「警察が来たら面倒じゃないか」



好きも嫌いもない。
楽しいも悲しいもない。

ある意味この世から断絶した生き方をしている彼。

神は彼を見かねた。
どうすれば彼はヒトとしての喜びを知るだろう。
いくら考えても答えはでなかった。


そして神はついに彼に話しかけた・・・


『少年よ、どうしてそんな生き方をする?』
「理由なんて特にないし、どうでもいいじゃないか」

『お前に大切なものはあるか?』
「そんなものはない」

『ならばお前に授けよう、ヒトを慈しむ心を』



その日から彼は変わった。
常に周りに配慮をし、困った人がいれば進んで対処をし、
時には笑い、時には涙した。
すべての人間に同じだけの慈愛を注いだ。

誰もが彼を愛した。

彼も誰もを愛した。



彼の両親も安心をした。
これで彼も普通の人として暮らせるだろう。

神も安心をした。
これで彼も人として幸せな一生を過せるだろう。


だが誰として気付いてはいなかった。
全ての人間に平等に付き合うということの意味。
それは以前の彼と同じ、全ての人間と距離を置くということだ。


つまり、・・・何も解決はしていない。



その後、彼は多くの人間に見守られ息を引き取ったが、
それが彼の幸せであったかどうかは誰にもわからない。
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# by muramasa666 | 2006-09-30 00:50 | 五階 『ものがたり』

黒いコートの男と人形

どこかの国の、どこかの町の、どこかの裏路地に、男が倒れていた。
黒い帽子、黒いコート、黒いカバン、黒尽くめの男が倒れていた。

「おじさん、しんでるの?」
「死んでる」

「しんだヒトはへんじはしないわ」
「じゃあ生きてる」


「"いきだおれ"なの?」
「まだ死んでないから行き倒れじゃない」

「じゃあそのままだとしんじゃうの?」
「このままだとそうなるかもな」

「まってて、なにかもってきてあげる」
「・・・ああ」


しばらくすると、少し土のついたパンを男は手にしていた。
急いで持ってきたのだろう、見れば膝が擦り剥けている。

男は目頭が熱くなるのを堪えながら、何も言わずにそのパンを頬張る。


「ありがとう。何かお礼をしなければいけないね」
「おれいなんていらないわ」

「そうはいかない、礼を尽くされればそれは返さなければならない」

「そうなの?」

「そうなの」


男はカバンを探る。
しかし餓死寸前までいった男のカバン。
金目のものが在る筈もなく、あるのはただのガラクタばかり。


「むりしなくていいよ?」
「いいから、もう少しだけ待っててくれ」

暫くすると、男はカバンから人形を取り出す。

「そのおにんぎょう、とってもきたないわ」

着ている白のワンピースは黒く汚れていた。まるで持ち主のようだ。

「確かに汚いかな、だがコイツはこれでいいんだ」
「あらわないの?」

男はわずかに頷く。

「この人形はできるだけ昔のままにしておかなければならないんだよ」
「どうして?」


「洗ってしまえば、過去すらも洗い流してしまうかもしれないからね」
「かこってなぁに?」

「昔のことだよ」
「むかし?このおにんぎょうには、なにがあったの?」


『聞かせてあげよう。小さなお嬢さん
 ・・・この"人形"のお話を・・・』






人形はとあるおもちゃ屋に売られていた
それを買ったのは、おもちゃ屋には似つかわしくない中年の男
娘の3才の誕生日でねと、馴染みがあるのかその店の店長と楽しそうに談話をしていた

やがて人形は綺麗な箱とリボンに彩られ、あとは娘の手に渡るのを待つばかりとなった


その帰りの暗い路地、男は通り魔に腹を刺され、もみ合いになって運河に落ち、人形と共に二度と家に戻ることはなかった



「その人形がコイツというわけさ」
「でも、とっても"きぐう"ね」

「ほう?」
「わたし、きょうで9さいになるのよ」

「それは丁度良かった。ならば俺からの誕生日プレゼントだよ」
「うん!ありがとう、おじさん」

「・・・あ、一つ忘れていたよ」
「なぁに?」

「その人形は、このカードとセットなんだ」
「かーど? おたんじょうびについてるの?」

「そう、大事な大事なカードだ」

男は再びカバンに手を突っ込む。
やがて小さなカードを差し出す。

紙は皺くちゃ、文字のインクは滲んでいたが何とか読めそうだった。



エルへ

3さいのおたんじょうび おめでとう

                       パパより



「・・・あれ、わたしとおんなじなまえ。
 ねぇおじさん、これってもしかして―」


エルが顔を上げた時には、男の姿はどこにもなかった。

「黒いコートの男とカード」
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# by muramasa666 | 2006-09-21 20:51 | 五階 『ものがたり』

彼女と彼の物語

ミクシィで書いてたものをこっちでも公開。
ぶっちゃけ自己満足モノなので出来はお察しそれなりです。

そのことを踏まえて、お読み下さいな。





第一話 『彼女と彼のプロローグ』


彼女には美貌があった 誰もが振り返るほどの
彼女には財産があった 一生を三回遊んで暮らせるほどの
彼女には地位があった 王すらも彼女を無視することはない

なにもかもがあるかのように見えた彼女
しかし彼女には一つだけ無いものがあったのだ・・・


薄暗い部屋片隅 そこにぽつんとあるベットが彼女の寝床
日の光が浴びるのは 一日のうちのわずかな時間
彼女にはその時の景色を見るのが大好きだった


人はみな命というコップの中に時間という名の水を溜め込む
彼女は・・・そう彼女は そのコップが人より小さい
あまりにも・・・小さすぎる


ずっと生活の大半をベットの上で過ごす彼女
ずっと外の世界を知らない無知なる彼女
ずっと死を見つめ続ける彼女


彼女は病に侵されている
治す術はない
もう既に手は打ち尽くした
その処置はいずれ来る死神の来訪をほんの少し先に伸ばしたに過ぎない
時間が、時間が彼女には欲しくて欲しくてたまらなかった


可愛い彼女
無垢な彼女
可哀想な彼女


そして幾日も過ぎ去ったある日のこと
彼女は自分の死期を悟ったのか 彼女の使用人の男にあるお願いをする

「私、生まれてから今日まで外の世界を知らないの」
「だから私を世界へ連れ出して?」
「・・・ね?」


かくして彼女と彼は旅に出る
残り少ない時間を せめて彼女の望むままにするために


翌日 彼女が部屋に居ないのに気付いた彼女の父親は
消えた使用人を指名手配する

「娘を拐かした、あの男を見つけるのだ!
 死体でもいい、私の目の前に連れてくるのだ!」












第二話 『彼女と彼の四人の男』


彼は彼女の事が好きだった
彼は彼女の力になりたかった
彼は彼女の家に追われてもそうしたかった

彼にとって、彼女が世界の全てであったのだから

彼女の家を出て三つ目の分かれ道 二つ目の町 一つ目の夜に
彼らの部屋に数人の男が押しかけた

「お嬢さん あなたのお父上がお待ちです
 さぁ我らと共に家に戻りましょう」

小枝のように細く、絹のように白い彼女の腕を男が掴む
嫌がる彼女を彼が庇う

男たちはナイフを取り出し彼に突きつける
彼は彼女の手を引き、男たちの脇をすり抜ける
男たちはナイフを彼に投げつける

一本、二本、三本・・・

四本目のナイフが彼の腕に刺さる

彼は足のもつれる彼女を抱きかかえる
彼は彼女の為ならこの場で死んでも構わなかった
彼にとって彼女が世界の全てであったから・・・

赤い血痕が行き着く先は町外れの教会
彼は追って来た男と対峙する
彼の武器は逃げる途中で拾った木の枝

それを見て笑う男たち

一人と四人は 一人と三人に
一人と三人は 一人と二人に

やがて立ち尽くすのが一人になった時
彼女が一人に駆け寄る

嗚呼・・・血溜まりは今もなお広がり続けている
嗚呼・・・東の空に明るみがこぼれ始める
嗚呼・・・やがて昇る日は彼女と彼と、四人の男の死体を照らすだろう














第三話 『彼女と彼の海』


彼は彼女を愛していた
彼女も彼を愛していた
恋する二人の行方は知れず、ただ時間が過ぎ行くのみ


彼が二十と六人目の刺客を殺した日

「晴れた日の星は、本当に綺麗ね」
「もう少し季節が過ぎれば別の星が見えるさ」

「雨の日は憂鬱だわ、何でもいいわ何か歌って頂戴」
「いいとも、君が気に入るといいのだけど」

「くもりの日は海が見えないわ、どうにかならないかしら」
「耳を澄ませてごらん、波音が聞こえるだろう?」


・・・。

・・・・・・。


彼女が三十と一つの朝日を迎えた日

「あなたは私の奴隷なの?」
「僕は君の使用人、奴隷ではないけれど似たようなものなのかもしれない」

「そう・・・でも私も似たようなものなのかもしれないわね」
「どういうこと?」

「私もあなたの使用人なのよ。奴隷でもいいけれどね
好きよ、大好き。私のご主人様」


・・・。

・・・・・・・。


彼女と彼に残された時間は―

「今日はあまり咳が出なかったわ」
「そうか、じゃあ今日は浜辺に行こうか」

「ちょっと今日は体調が悪いわ・・・」
「じゃあ腕を振るって僕が君のご飯を作ろう」

「・・・少し眠いわ」
「なら君が寝るまでずっと傍にいよう」
「それじゃ嫌。あたなも一緒に眠りましょう?」
「そうだね、そうしようか」



『約束よ?』



・・・。

・・・・・・。



彼は今日も花を摘む
この花は彼女にきっと似合うに違いない
それともこっちの方がいいかな
いやいや両方持っていこう どちらも似合うに違いない


「とうとう見つけたぞ小僧
 娘を返して貰おうか」


立ちはだかるのは彼女の父親
目には血を張り巡らせ、銃を彼に突きつける

彼の傍らには彼女の姿は無い

「娘をどこに隠した
 言わなければ殺す」

いや、言っても男は彼を殺すだろう

「さぁ言え!
 娘をどこにやった!」

彼は口を紡いだまま、何も答えない


銃声


男の耳には聞こえただろうか?
―かすかに寄せて返す波の音に

彼の耳には届いただろうか?
―愛しい彼女の呼び声に

「そろそろ答えたくなったか?」

両足を撃ち抜かれた彼は膝を折る
顔を俯かせたまま・・・

「彼女は・・・この先の海の見える崖の小屋にいる」

そうかと頷いた男は銃に込められた
最後の弾丸を彼の心臓にくれてやる

彼はその場にうずくまり、やがて動かなくなった

男は彼が動かなくなるのを確認すると
彼の言った小屋へと急ぐ

男が小屋で見たものは がらんと誰も居ないただの小屋
あの野郎 嘘をついたのか


いいえ彼はついてません


男は気付かない
小屋のすぐ傍の 花に囲まれた石に書かれた その文字に



『彼女と彼の―』



掠れた最後の文字は 二人にしか分からない

最終話 『彼女と彼のエピローグ』
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# by muramasa666 | 2006-09-16 19:37 | 五階 『ものがたり』

三階 『オフレポート そのいち』

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「こんばんわ。っといってもこれを見ている時間が夜とは限らないから、業界的にいうとおはようございますというのが正しいのかもね。
それはそれとして。オフに参加した方々、お疲れ様です。
去年の年末オフと違って緊張も殆どなく、心地よい雰囲気のまま終わることができました。
今後もこのオフが毎年の恒例行事となることを強く望みます・・・・」




さて今日はそのオフについてのレポートを書きたいところなんだけど、
正直なところ、どこから手をつけたものかというので非常に悩み中。

そこで、なんか小説仕立てにしてみようかなという妄想野望を抱いています。
ということで、やっちゃった感じがしますが・・・
連続オフ小説「村正物語~妄想伝」をお送りします。







連続オフ小説 『村正物語~妄想伝』

第一夜 「村正、上野駅に立つ!」




「暑い・・・」
上野駅に着いた俺は誰に聞かせるでもなく、そう呟く。
家を出る時も思ったことだが、やはり暑い。
夏は暑いから夏っていうんですよって誰かが言った気もするが、
南半球じゃ今は冬だ、あの人達にとっちゃ八月・・・つまり夏は寒いって意識なんじゃないのか。
だったら暑い=夏ってのは当てはまらないんじゃないのか。

そんなことをブツブツ思いながら乗り換えの電車を探す。

正直なところ、人が多いところも暑いところも得意ではない。
重火器があったら思わずぶっ放しちまいてぇ気分だぜ。

ズガガガガガ!!!!

「ヒャッハー! そこのデカブツ、撃たれたくなけりゃ恥かしそうに俯きながら道の端を歩きやがれってんだァー! ってもう死んでるか ヒャッハハハ!!」

などという事は決して言わない。
思ってても言わない。

さて、ここで時刻のチェックだ・・・11:32。
約束の時間は12:00だから、30分近く早く来たことになる。
ちと早い気もするが、まぁ時間前に到着することはよいことだ。

早速着いた事を伝えるべく、今回のオフの主催であるハッパにメールを打つ。
・・・・5分後。

まだ返信がない。

・・・・7分後。

まだない。

・・・・10分後。

まだまだ。

メールの返信に10分くらいかかるなんてザラじゃないか。
しかし待ち合わせの時の返信待ちてぇのは長く感じるもんだよな。
もう中央改札を20週は回ったねってかそれじゃ多すぎだよな、まぁせいぜい6週?いや5週かも?そいやなんで一ヶ月って5週なんだろうな、え?たまに6週にもなる?そうかなるのか、じゃあ一ヶ月が特別5週ってわけでもねぇのか、じゃあ一週間が7日なのはなんで、なんでだ?たしか一日が24時間なのは地球の都合で一週間が7日なのは人間の都合とか聞いた事があるな、たしか聖書とかうんたらなんたらで最後に人間をつくったどーたらこーたらで・・・


ブブブブブ・・・・・

おっと、携帯が鳴っている。
物思いに耽っている間に三分ほど経ってしまったようだ・・・。
なになに。
『ワリィまだついてないw
ありぃととしおとエリトンが先についてるみたいだから連絡とってくれw
こっちはあとちょっとで着くwww』

ふむ。三択か。
ありぃ、としお、エリトン・・・。
誰を選ぼうか・・・。


・・・ありぃか?
なるほど、ありぃなら同年代として気兼ね無く話せるかもしれない。
だがオフの前からそんなに話しているわけでもないし、
少々バツが悪い、ありぃは止めておこう。


・・・よく話しているとなると・・・エリトン?
確かエリトンとは12、3日に会っているし、二日に一回の頻度で会っているかもしれない。
しかし・・・エリトンは三人の中では紅一点。
「なにテェメカマしてんだゴルァ!!」と言われたらコトだ。
エリトンは止めておこう。


・・・最後は、としおか。
奴は誰とでも・・・というわけではないが俺とは比較的に友好的だ。
変なことを言っても多少のことなら許してくれるだろう。
よし、としおにしよう!


ええっと・・・なんて打つか。
「上野にツイタゾ!
どこに行けばいい?」

よし、完璧だ。
現状と要求が二行にとてもよく纏められている。
ダ・ヴィンチでもこうはいくまい、フフフ。

っと返信来たきた。
『中央改札でてきて~』

今、中央改札なんだがな。
ッフ、としおも詰めが甘いぜ(謎
とりあえず、中央改札を出るとするか。


駅の中といっても、十数メートル先はもう外だ。
熱気が止め処なく押し寄せる。

「夏は暑いが、オフはもっとアチィぜ」
意味不明なことを言いつつ第二夜へと続く。
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# by muramasa666 | 2006-08-19 20:59 | 三階 『日記』